秋祭り
秋祭りの笛や太鼓がどこからか聞こえてきています。
不思議な旋律ですが、なぜかこの季節の空の高さにぴたりとあっている気がします。
自然発生した音楽は、人間だけでなく空や季節にも届くように創られているようです。
町内のおじいさんたちが年の一度の張り切り具合で、祭りの準備に燃えています。
この町で生まれ育って老いていった皆さんは、何十回もこの季節にこの町でこの祭りを味わってきたんでしょう。
正直言ってお神輿も小さいし、見に来るようなお客さんもいない小さな町の神社の奉納祭りですが、毎年必ず廃れることなく続いてきているってことが、こんな現代社会においては不思議な気がしますね。
豊作を祈る田畑も無いこの東京の町で、それでも小さくそれぞれに祈りながら、ささやかに、でも精一杯にぎやかに行われるこの秋祭りが僕は大好きです。
生活から生み出されていくものが、いちばんいいな。
そう思います。
小さな僕らの生活が集まって、小さなこの町の命みたいなものになって生きていっている。
そんな実感が祭りの音たちを聞いていると浮かんでくるのでした。
皆様、素晴らしい秋をお楽しみください。